「歯」がどうやって動くのか?
本題に入る前に、まずは骨の基本的な仕組みである「骨吸収」と「骨形成」について知る必要があります。
- 骨吸収
- 破骨細胞によって、弾力や固さを失ってしまった古い骨が分解され、壊されていくこと
- 骨形成
- 骨芽細胞によって、しなやかで弾力性のある新しい骨がつくられること
人間の骨は絶えず骨吸収と骨形成を繰り返しており、ヒトの場合、一般に5年で全ての骨が入れ替わると言われています。矯正歯科治療は、この「骨吸収」と「骨形成」を利用して行われる歯並びの治療法なのです。
続いて「歯」の構造について簡単に説明いたします。「歯」は歯槽骨と呼ばれる骨に生えており、歯の外見上見えない歯根の部分と歯槽骨の間には歯根膜という歯槽骨に歯を植立するコラーゲンの太い束からなる懸架組織というものがあります。
以上をふまえて、矯正歯科治療で「何故『歯が動く』のか?」を説明します。
矯正歯科治療では、歯の表面(裏側矯正といわれる矯正治療法では歯の裏面)にブラケットという小さな装置をボンドで接着し、特殊な矯正用ワイヤーで弱い力を加えて行われます。
この弱い力を加えられた側の歯根膜に骨吸収を起こす細胞が出来て歯槽骨が骨吸収され、反対側では骨形成を起こす細胞が出来て骨形成が起きます。
こうして、矯正歯科医は歯を目的の場所へとゆっくり動かしていくのです。